【名作】のび太のマトリックス【再現】その2

39 :作者はt09 :02/03/10 10:55 ID:???
何度かアングルを変えて見てみたがモニタに何が写っているのかは
判明しなかった。ちょうどジャイアンのでかい背中がじゃまなのだ。
「一体どうしたんだろう?」
「だから出たんだよー!あのノートパソコンに。」
「馬鹿な事言うなよ!」
「呪われてるんだって。それでジャイアンは…」
「じゃああのパソコン調べてみれば良いんだ。」
「や、やめなよ〜!」
「そんな呪いとかお化けとか非科学的な…」
銅鑼えもんがノートパソコンを開けた時ドアが開いた。
「ウギャー!」
「やあ、スネ夫。君もお見舞いかい?」
「なんだ。スネ夫かー。」

ジャイアンのお母さんに聞いたよ。意識不明なんだって?」
「そうなんだよ。それでこのノートパソコンが…」
「そうそう。意識がないなら必要ないもんね。返して貰おう。」
「いや、やめた方がいいよ!絶対やめな!」
「何でだよ?」
「ノ・ロ・ワ・レ・テ・ル・ン・ダ」
「こいつヴァカ?」
スネ夫が銅鑼えもんに尋ねたが銅鑼えもんはそれを否定出来なかった。

次の日からスネ夫が学校に来なかった。


「絶対呪われてるんだって!」
「う〜ん。」
スネ夫の家に様子を見に行った帰り道での会話である。
スネ夫の状態はまるっきりジャイアンと一緒。
違いは母親がジャイアンの家より取り乱していたぐらいだ。
銅鑼えもんは今日こそはあのノートパソコンを
調べてやろうと思っていたのだが
何故かスネ夫の部屋やアトリエには存在しなかった。
鍵はあのパソコンに有るに違いないのだが。
のび太のわめき声を無視しつつ思案を重ねていると
出来杉に出会った。
「捜していたんだよ!静ちゃんが大変なんだ!」

話を聞いてみると静ちゃんが突然倒れたらしい。
母親が不在なので病院に電話しようと思ったが
病気ではない様なので銅鑼えもんに相談したかったのだそうだ。


40 :作者はt09 :02/03/10 10:56 ID:???
静ちゃんの家に行くとジャイアンスネ夫と同じ症状。
ベットに寝かせてあるがこれは出来杉の判断だろう。
ふと机の上を見るとスネ夫のノートパソコンが置いてある。
「なんでこんな所にスネ夫の…」
「静ちゃんのお父さんが百科事典のCDROMをお土産に買ってきて
 くれたそうなんだけどWin用だったから借りてきたんだ。」
「じゃあこのパソコンをいじっている時に静ちゃんは?」
「そうなんだ。」
「やっぱり呪われてるんだよー!」


そんな事を話している時に静ちゃんの母親が帰宅した。
出来杉が事の次第を説明してとりあえず医者を呼ぶ事になったので
一行は帰る事にした。
「このパソコン借りていって良いかな?」
スネ夫君も意識不明な事だし調べて貰えるかな?」
「うん。」
のび太はそんなパソコンを家に持って帰るのはイヤだったが
静ちゃんの事を考えると調べないわけにも行かない。
家に帰って徹底的に調べさせよう。銅鑼えもんに。と思った。

銅鑼えもんはそれこそHDDの隅から隅まで探し回ってみたが
何も怪しい所は見つけられなかった。
「おかしいなぁ別に怪しい事無いぞ?」
「何処か見逃してるんじゃないの〜?
 絶対書いてあるはずだよ!
『このファイルを開いたら何人かに同じファイルコピーして
 開かせないと死ぬるぞ!』とかさあ。」
何故こいつにはこんなに危機感がないのだろう?
楽しんでいるとしか見えないのだが。
いつも俺が助けているから自分が危機に見舞われる事は無いとか
甘い事でも考えているのだろうか?
それなら一度原子分解銃で殺してみるのも良いか?
少し過去に戻ればこいつは存在してるんだし。
死ぬ時の感覚・記憶だけを保存して置いて後で植え付ければ…
フフフ…ヒヒヒャハウヒヒヒ


「わあ!銅鑼えもんが呪われた!」
「はぁ?」
「だって画面見ながら突然笑い出すんだもん。
 こんな時に不謹慎だぞ!」
オイオイ不謹慎なのはどっちだよ。
やっぱりこいつは一回殺して、死ぬ時の記憶を…記憶を…
「保存だ!」
「え?え?なに?なに?」
そうか!未来で一時期こんな症状が流行った事があった。
何故忘れていたのだろう?ひどい所では町中の子供が
みんなこんな風になったっけ。
銅鑼えもんはまたノートパソコンをいじり始めた。
何処かにショートカットがあるはずだ。どこだ?
銅鑼えもんが捜していたショートカットは
ダイヤルアップネットワークの中に隠してあった。
見た目には普通のアイコンにしか見えない。
だがリンク先は…


41 :作者はt09 :02/03/10 10:56 ID:???
「やっぱりだ。」
「何か見つけたの?」
「これだよ。『PC革命バーチャルk』」
「何なのそれ?」


「このソフトはね。当初人間の記憶をバックアップするために
 作成された物だったんだ。
 ところがバックアップを取ると本人が意識を失ってしまう。
 だからコピーじゃなかったんだな。
 どうしてそんな事になるのかは謎だけど、
 あるシステムエンジニアが言うには
 『このソフトは記憶だけではなく魂に干渉してしまうために
 本体、つまりハード側が抜け殻になってしまう。
 BIOSを抜き取られている様な物だ。
 コピーを取る様に設計されている筈だが
 どうやってもうまく行かない。
 きっと魂という物は同じ次元に2つ存在しては
 いけない物なのだろう』
 などと言っていた。その当時は気の利いたジョークとしか
 取られなかった様だけどね。
 このソフトを元に色々な物が発明された。
 でもそれはもっと先の話なんだ。制御しきれなかったんだね。
 22世紀にはクローンに魂を移し替える事も可能になったけど。
 
 発明発表されてすぐにコピー品が出回った。
 殺人に利用されてしまったりするから
 厳しく取り締まられたけど恐ろしいクローンが出回ったんだ。」


「クローンって?」
「勝手に改造したソフトさ。バーチャルk。このソフトだよ。
 『場茶毛』って隠語で日本でも大流行した。
 でもこのソフトは不完全だったんだ。いや…
 完璧すぎたのかな?」
「一体なんなのさ?さっぱり分からないよ!」
「魂を取り出してね、PCに取り込んでPC内で活動できる。
 それが魅力だったのさ。ゲームの中に自分自身として
 登場して遊べる。スキルのない奴でも自由にネットワークを
 歩き回ってハッキングだって出来る。」
「面白そうじゃない!」
「うん。最初の内はみんな大人しくゲームしたり
 人のPC覗いたりしていたんだ。そのうちに
 これ専用のネットワークゲームもいくつか出来た。
 これも市販のゲームの改造とかが殆どだったけど。
 でもこのソフトは重大な欠陥を抱えていたんだよ。」
「何?」
「まず、入り込んだPCに不具合が出ると帰ってこられなくなる。
 元はクラックソフトなんだ、かなりの確立で不具合が出たよ。
 しかもフリーズしたりするとそれだけでダメになっちゃう。」
「ダメになっちゃうって?」
「人間は細胞が常に入れ替わる様に感情とか記憶とか
 そう言った部分も常に累積・消去を繰り返して居るんだ。
 寝ている時だって夢を見て立ち止まらない様にしている。
 只のデータじゃないんだよ。生きて居るんだ。
 だから活動を停止しちゃうと魂が死んじゃう。」


42 :作者はt09 :02/03/10 10:57 ID:???
「ええ!?」
「もし復旧させて救助する事が出来たとしても
 あまり長い時間、体に魂がないと帰れなくなっちゃう。
 体は寝ているのと同じ状態なんだ。
 つまり細胞とかは入れ替わっている。
 うまくリンク出来なくなっちゃうんだよ。
 点滴とかで体を持たせていてもダメなんだ。
 仮死状態にする事も試されたけどうまく行かなかった。
 これらが解決されたのはだいぶ後の事だよ。」
「じゃあ、ジャイアンスネ夫や静ちゃんは…」
「タイムリミットがある。個人差があるけどあんまり長くは…」
「そ、そんなぁ!」
「それにPCの中で大人しくして居ればいいけど
 もし怪我でもしていたら…」
「…していたら?」
「上手く体に帰れたとしても障害者になるよ。」
「そ、それは大けがだろ?」
「違うんだ。それがこのソフトが完璧すぎたって言われる
 もう一つの理由なんだけど、怪我をするとね
 本当に怪我をした様に書き換えられちゃう。
 しかもそれを神経系のDNAに書き込んじゃう物だから、
 怪我した部分が直らない。一生そのまま。
 見た目には最初何ともないんだけどとても痛い。
 その内患部が壊死してくる。腐っちゃうんだよ。
 ただ上書きされた状態だから組織は治ろうとしない。」


「でも、でも、コンピューターの中なんて安全だろ?」
「不良クラスタの崖。灼熱のファイアーウォール。
 立ち寄ったPCがハングして凍り付くかも知れない。
 突然上書きされて押しつぶされるかも知れない。
 一番怖いのはウィルスさ。かかったらもうお終い。
 突然電源切られただけでもアウトなんだよ!」
「それじゃあ」
「ゲームなんか見つけて気軽に参戦して見ろ。
 ダメージは本当のダメージになって体に降りかかる。」
「このパソコン電源切っちゃってるじゃないか!」
「いや、ここには居ないみたいだよ。」
「じゃあ一体どこに〜?」
「このショートカットの先にさ。」
「?」
「誰かがこのPCに仕掛けたんだよ。おそらくジャイアン
 ネットしている時にだろうね。
 次回からはネットに繋いだ瞬間に起動する様になっていたよ。」
「でもスネ夫はこれをいじっている時じゃ…」
「そこは謎なんだけどね。」
「静ちゃんは?」
「百科事典ソフトを見てみたら常に最新情報をネットで
 公開するサービスがついてた。
 おそらくそれをいじったんだろうね。」
「一体誰がこんな!」
その時のび太のPCが起動した。
「それやったの、う゛にゅうに間違いないみたいです〜」
謎春奈が半泣きしながら言った。


43 :作者はt09 :02/03/10 10:58 ID:???
どらえもんは光速船が投げ売りされている過去にまで遡って
一個一万円で大量に購入し秋葉原にある
店内が狭くて臭くて店員の態度が悪いことで有名な
中古ゲーム店に持ち込んで店員を困らせ、せしめた金で
どら焼きを買い込んでウハウハしている夢を見ている時に
のび太にゆり起こされたため非常に機嫌が悪かった。
そろそろ交代の時間だそうだ。
二人は謎春菜の帰りを待っていた。
どちらかが起きていなくてはいけないのは、彼女の仕様的に
ユーザーを起こしたり仕事の邪魔をしたり
出来ないようになっているためだ。
設定で変えられないのかと聞くと
AIの根幹に関わるものなのでだめだと言う。
そういった役目はう゛にゅうに一任されているらしい。
謎春菜によればPC革命はう゛にゅうが仕掛けた事に
間違いないようだ。
ショートカットのリンク先は転送URLになっており、
その転送サービスはすでに登録を解除されてしまっていた。
恐らくその先のサーバにCGIとして
ブラウザから起動が出来るように設置されていたのであろう。
そんな事が出来るのはう゛にゅうだけだ。

タイムプロキシがインストールしてあるマシンが
ここにあるので、未来からのハッキングも予想されたが
状況的にはヴにゅうが一番怪しいであろう。
しかし一体なぜそんな事を?
ジャイアンの一件だけが意図的でその後の二人は
偶発的に起こってしまった事件なのだろうか?
謎は深まるばかりだ。
とにかくう゛にゅうの居場所がわかれば
全てがわかるに違いない。そこへ謎春菜が帰ってきた。
「見つかった!?」
どらえもんは開口一番尋ねたが謎春菜はただ首を横に振った。
「ダメですぅ。
 元々私の権限では捜索できる範囲が狭いんですよぉ。
 ただの便利ツールですからねぇ。」
ため息をつきながら説明する。
AIが自分自信を卑下することは滅多にないことだ。
人間や他の生物と違って
プログラムには自己進化能力を与えられているものの
自己の複製を作成して種族保存を図る能力は
与えられていない。それが与えられているのは
一部の違法ソフト、そうウィルスだけだ。
ウィルスを見ていればわかるようにそこいら中が
そのプログラムで埋め尽くされてしまうからだ。


44 :作者はt09 :02/03/10 10:58 ID:???
その代わり防御能力や自己保存能力は
必要以上に装備されている。
自己をデータで理論武装し存在意義を確認する作業が
子孫繁栄と言った目的・命題のない人工知能には
最優先の自己安定措置なのだ。
もちろん反省や自嘲も自己を進化成長させる
大切なファクターだ。だが自分のアイデンティティ
に関わることは極力触れない様に気を使う。
俺も『役立たずのロボット』と自分を卑下することはある。
だが『どうせ子育てロボット』などと言う
自分の根本に関わることは言えない。
成長に限界を観てはいけないのだ。
そんな事を口にしてしまう謎春菜は自分の無力さに
苛立ち焦っても居るのであろう。
相方とはいえRead meを読めばう゛にゅうはいわば半身だ。
人間に置き変えて言えば
『就寝中に夢遊病で勝手に悪さをした。』とか
『二重人格が現れて悪さをした』とか
ドッペルゲンガーが自分の預かり知らぬ所で殺人を犯した』
ぐらいの意味を持つにちがいない。


「転送サービスが置いてあるサ−バを探って
 過去のリンク先を探るのも権限外なのかい?」
「あそこは重点的に調べてみたのですが
 ここ最近に登録したユーザのログは
 削除されていますねぇ。
 これもヴにゅうの仕業に違いないでしょうけど。」
「万事窮すかー」
「ただ…」
「ただ?」
「pc革命が置けるほどのマシンはそう無いでしょうし、
 しかもオンラインで動作させるとなると
 よほどのパフォーマンスが要求されると思うんですよ。
 回線の太さも尋常じゃないでしょうし。
 ここ最近で大きなデータのやり取りがあった所を
 調べているんですけどねこれが意外に多くて。」
「人間一人分なんてデータ相当な大きさだろう?
 そんな物をインターネットでやり取りしているサーバなんて
 そうはないだろう?」
「ところがそうでもないんですよ。
 どちらにしろパケットに分割してのやり取りでしょうし
 連続した大きなデータだけを探すだけではダメな様でして…」
「一体みんな何をそんなに?」
「違法ファイルや動画データが多いようですねぇ」
「またしてもWarezかー」


45 :作者はt09 :02/03/10 10:58 ID:???
「ソフト一本とかなら見分けもつくんですけど
 一遍に何本もやり取りされると
 内容を観てみないとわからないですぅ。
 調べに行くと大抵FTPサーバなので
 またかって思うのですけどCGIとして稼動させて
 データだけFTPかもしれませんし。」
「困ったねぇ」
「困りましたねぇ。でももうちょっと探ってみますね。」
「休まなくて大丈夫なの?」
「リミッターを解除するパッチを見つけてきて
 あてましたんで大丈夫ですよ。」
「ええ?そんな事して大丈夫なの?」
「あんまり長時間はまずいでしょうけど、
 パッチ当てる前のバックアップもとりましたし。」
「けど自分の改造やアップデートは勝手にやると
 まずいんじゃなかった?
 それより自分に自分でパッチ当てたり出来るの?」
のび太さんの許可を頂いてパッチ当ても
 バックアップもして貰いました。」


「何のことだかわかってた?
 それよりもバックアップちゃんと取れているの?」
「今よりも強くなるって説明したら
 納得してくださいましたよ。バックアップも確認しました。
 ちゃんと取れていましたよ。
 一度終了された状態にならなければ
 いけないので不安でしたが。
 のび太さんはどらえもんさんが考えているより
 ずっと賢いですよ。」
「え〜?」
「人より理解するのに時間がかかるだけなんですよ。
 でもきちんと理解できればその分皆より忘れないでしょうし
 理解も深いはずですよ。」
「そ、そうなのかなぁ?買いかぶりじゃないかな?」
「あせらずに…ってそれは私もですね。」
「うん。頼りにしているよ。」
「では寝ていてください、パッチを当てたおかげで
 ユーザを起こす権限も貰えましたし。」
「そっか。じゃあお言葉に甘えて。」
謎春菜はデスクトップの奥へと消えていった。
頼りにしていると言われたときの嬉しそうな顔が
ひどくどらえもんの心に残った。


46 :作者はt09 :02/03/10 10:59 ID:???
俺もこの時代に来て
のび太に最初に頼りにしていると言われたときは嬉しかった。
何時の間にか慣れっこになってしまい
そのうちにウザくなった。
あまりの成長の無さにいらついたりもした。
だが俺のほうにも問題があったのではなかろうか?
そんな事を考えながらのび太の方を見ると
のび太は起きていた。
「さっきの話し聞いてたの?」
「うん。途中から。」
「そっか。」
「謎春菜さん、大丈夫かな?」
「無理はしていないと思うよ。
 AIは自分を傷つけるようには出来ていないから。」
「早く皆を見つけて助け出さなきゃね。」
「うん。」
今まで気がつかなかったけどこいつは成長していたんだな。
思いやりと言う面では誰よりも。
「さあ、せっかく寝る時間を用意してくれたんだ。
 探し当てたら長い作業になるから体力を温存して置こう。」


昼寝ともなれば3秒で眠りにつく特技を持つ
のび太であったがなかなか寝付けなかった。
銅鑼えもんはさっさと寝てしまっている。
ロボットならではのドライさであろうか?
静ちゃんやスネ夫ジャイアンを発見したとして
果たして五体満足に救出出来るのだろうか?
どうやって救出するのだろう?
あれこれ怖い想像をしていると
PCのスクリーンセーバが途切れ謎春奈が顔を出した。
「あら、起きてたんですか?」
「うん、どうも寝付けなくてね。
 せっかく時間作ってくれたのにゴメン。」
そう答えたのはのび太ではなく銅鑼えもんの方だった。
のび太は少し反省した。

「見つけられなかったわけです。
 パッチ当てた私にも権限外、つまりセキュリティ
 ブロックされている場所からの
 アクセスだったみたいです。」
「見つけたの!?」
「ええ、確認できては居ませんが
 おそらく間違いないでしょう。」
「君の権限外って…」
TCPじゃなくてUDPが使われていたのが盲点でした。
 回線の連続性に信頼があるからって
 人体データに無茶な事してます。」
「一体どこなの?」
エシュロン…ってご存じですか?」


47 :作者はt09 :02/03/10 10:59 ID:???
「エ、エシュロン〜!?」
「な、何なの?教えて?」
「私が説明するよりNET上にも怪文書の類を含めて
 沢山の資料が有りますから読んでみてください。」
「こんな時代になってもまだ活動していたのか?」
「そのようですね。サーバおよび本部施設は
 太平洋上の小島に極秘裏に建設されているようです。
 回線は衛生、静止衛星成層圏静止飛行船による
 成層圏プラットフォーム、海底ケーブルの
 4回線を使っています。
 小型の原子力発電システムまで洋上に浮かべて
 大規模な情報都市を形作っています。
 衛生に対するステルス施設もあるようで
 静止衛星からはマイクロウェーブまで
 発射されているみたいですね。
 あ、これはこの島を設計したと思われる
 マイクロソフトの子会社から調べました〜。」
「そんな所…手出しできないじゃないか!」
「そうですよね。困りましたねぇ。
 でも一つだけ方法があります。」
「それしかないかな?」
「銅鑼えもんさんの道具を使って
 直接施設に乗り込むことは出来ますが
 命の保証は出来ませんよぉ」
「物理的危害が加わらないだけ
 あっちの方がマシか…」


「ねぇ!いったい何の話なの?」
のび太エシュロンについての文献を読み漁った物の
殆ど理解が出来ずにいた所で
銅鑼えもんたちが深刻そうに話をしているので
検索作業を打ち切った。
解説文から読みとれたのはエシュロンが怪しげで
悪い組織だと言うことぐらいだった。
「みんなを助けるためには僕らもデータ化されないと
 ダメなんだよ、って話。」
「何だ。難しく言わないで最初からそう言ってよ〜
 …って僕らもPC革命を使うって事!?」
「そう言うこと。」
「だって、と〜っても危険なんじゃないの?」
「だから俺だけで良いよ。」
「へ?」
「俺は元々ロボットなんだからdate化は
 当たり前の事だし。慣れてるからね。」
「でも、銅鑼えもんさんのプログラム言語は
 第4世代超高級言語ですからそのままでは
 PCに載りませんよ?」
「分かってる。PC革命を使うよ。」
「そしたら銅鑼えもんだってあぶないだろ?」
「でも慣れてるし。俺にも責任有るしね。」
「………僕も行く。」
「へ?」


48 :作者はt09 :02/03/10 10:59 ID:???
「僕も行くよ!元はと言えば僕がPC出してくれって
 言ったのが原因だし。僕も行く!」
「PCの中がどれだけ危険かについては話したよね?」
「PC革命がどれだけ危険かも聞いたさ!」
「それでも行くの?」
「それでも行く!」
「そっか。それじゃ偽春奈、道案内頼めるかな?」
「はいっ!」
「あ、それとPC革命用意できるかな?」
「もうご用意してあります〜」
「用意が良いね。」
「安心してください。
 皆さん絶対無事に元に戻して見せます。」
「じゃあのび太君から先に逝きな。説明してあげるから。」
「イヤな言い方するなよ。」
「そのアイコンをクリックして…そのダイアログはYES…
 あ、それはNOね。生年月日とかは適当で良いよ。
 うん。それはIDだからかぶらないように…
 nobiだとかぶるみたいだね。…そのフォームは半角で。
 本当にデータ化してよろしいですか?って聞いてるけど。
 OKならOKのボタンを…後はマウスを通して
 勝手に読みとってくれるから、それが売りだからね。
 …じ…おれも…すぐ…に…い………


何かが通り過ぎていくのを感じる。
それも、傍らを、ではなく
自分の体の中を通り過ぎていく。
その正体を確かめようとしたが目を開けられない。
いや、それは正確な描写ではないだろう。
今、自分の中には「暗闇」すら存在しない。
視覚が無いのだ。
それがどんな状態であるのかを説明するのは
恐らく盲目の者にも無理であろう。
体がカーブを切った。
それもGを感じて思った事ではなく
自らを通り過ぎる「何か」のスピードや角度、
そして翻弄される体を通じて確認しただけだ。
こんな状態に陥ってから
一体どれぐらいの時間がたつのだろう?
体を突き抜ける「それ」から
かなりのスピードで進んでいる事が予想出来る。
進んでいる?本当に進んでいるのだろうか?
自分は一定の場所に留まっていて
「何か」が動いているのかもしれない。
そう考えだしたらとても怖くなってきた。
のび太は叫びそうになったがそれも出来なかった。
口も耳も、何より音そのものが無かったからだ。


49 :作者はt09 :02/03/10 11:00 ID:???
パニックになってもがいてみるが
もがくための手足も存在しない。
いつか見た事がある夢の様に
手足の感覚はまるで答えてくれないのだ。
だがその刹那にのび太は暗闇を発見した。
視覚を取り戻したのだ。
ただの暗闇だがどれほど懐かしく感じたであろう。
暗闇はだんだんと瞼の裏へ変わっていった。
残像の様な物を見つける事も出来た。
懐かしさと安堵感にそれを注視していると
ため息が漏れた。
ため息!試しに深呼吸をしてみる。
出来る。口が開き、横隔膜が動き肺が蠕動する。
だか喉や気管を通るいつもの乾いた気体の感覚は
まるで無い。だがそれが当然かの様に苦しくはない。
ゆっくりといつもの要領で喉を震わせてみる。
声は出せるのだろうか?
喉は震え、その振動は確かに首や胸に感じる。
だが耳を通してその音は聞き取れなかった。
しかし脳が直接震えるようにして自分の声が聞こえた。


その聞き慣れない声に驚いていると
瞼の裏が次第に白くなってきた。
光だ。
気が付いてみると自分を絶えず貫き続けていた
「何か」が途絶えていた。
もう移動していないのだろうか?
瞼の裏の白さは一定の光量まで行って止まった。
再び感覚のない穴蔵に放り込まれたような
恐怖を感じたが先ほどの無感覚とは違い
無音、無臭、無味、無重を感じる。
目を開けても良いのだろうか?
かくれんぼをした時のように誰かに尋ねたかった。
「もう良いかい?」
誰も答えてくれなかったら?
ひょっとしたら自分の頭の中にだけ響いて
外には響いていないのかも。
一番良いのは目を開けてみる事だ。
学校の教科書で読んだ事がある「杜子春」の
話を思い出す。
片目だけ、恐る恐る薄目を開けてみる。
すると対面には銅鑼えもんと謎春奈が
不思議そうな顔をしてのび太の顔をのぞき込んでいた。
「何してんの?もう行くよ?」


50 :作者はt09 :02/03/10 11:00 ID:???
ビックリして両目を開くとのび太は地面に立ち
謎春奈、銅鑼えもんと向き合っていた。
そしてそれを認識したとたんに自重を感じて
その場に尻餅を付いた。
「こっちに着いたらすでにのび太君は居て
 無事に着いたなとか思ったら
 目をつぶってアホ面してボーっとしてるから
 ヤバイ、転送失敗か!って焦ってたら
 薄目開けてこっちを伺ってるから
 馬鹿にしてるのかと思ったよ。」
「ア、アイテテテ。なんだ?体が急に
 重くなった。」
「仮想空間に慣れていない方は視覚で
 状況を認識してから体感覚を思い出すので
 そう言った状態になるそうですよ〜」
「あ、謎春奈さん。あはは実物は可愛いんだねー!」
そう言いながら立ち上がった。
だいぶ感覚が慣れてきた。
「照れますよぉ。もっとも実物って
 訳じゃないんですけど〜」
画面で見た時は可愛い漫画調の絵だな、
と言ったぐらいの見方だったのだが
等身大を間近で見ると理想に近い可憐な
美少女だったのである。


「あ、あたしは人様に描かれた物ですから
 人間の理想に近い容姿をしているのは
 当たり前の事でしてぇ…」
「いやいやそれにしてもかなり…萌え〜」
のび太は品定めするように謎春奈をジロジロと
眺めた。すると銅鑼えもんに
後ろからいきなり殴られた。
「な、何するんだよ!」
まだこちらの世界に来てあまり慣れていない
ダイレクトな痛みという感覚にたじろいでいると
「そんな事してる場合じゃないだろ!?
 急がないと手遅れになっちゃうんだぞ!」
「そうだ。急がなくちゃ!」

しかし銅鑼えもんは自らの怒りに
不思議な感覚を覚えた。
確かに急がなくちゃいけないのは事実だが
それよりものび太の行動に腹が立ったのだ。
何か大事な物を汚されているような。
ひょっとして、漏れ謎春奈に恋しちゃったのか?
そんなヴァカな。でものび太じゃないけど
謎春奈…萌え。


51 :作者はt09 :02/03/10 11:01 ID:???
「で、これからどうするの?具体的に。」
「謎春奈に道案内を頼むしか無いなぁ」
「わかりました。お任せ下さい!
 …ですが、本来ならお二方ともすでに
 データ化が済んでいるので同じHDD内でしたら
 瞬時に移動が出来るはずなのですが
 まだこの世界の理に
 慣れていらっしゃらないでしょうし
 しばらく歩きながら身体感覚に慣れて頂いて
 ついでに色々説明しますから
 ゆっくり行きましょう。
 慣れてしまえば目的地まではすぐでしょうし
 そんなに焦る必要もありませんよ。」
「そうか、じゃあ頼むよ。」
「しかし…広いねぇ」
のび太は周りを見渡して言った。
何もない空間が地平の彼方まで広がり
所々に建造物なのかただの起伏なのか分からない
物がポツポツと見受けられる。
「150GBありますからねぇ」
「とりあえず最初はどこに向かうの?」
Windowsって建物の中にTCP/IPセンターが
 ありますのでそこに行きましょう。」


「そのTCP/IPセンターってのは何?」
「私たちは今高レイヤーに居るので
 このままではネットワークに乗って
 他のマシンに移動することが出来ないんですよ。
 だからTCP/IPセンターに行って
 もっと下層に乗れるような
 データ化をして貰うんです。」
「???」
「逝って見りゃわかるさ。」
「イヤな言い方するなって。」
「さっきは量子転送だったから
 まだ良かったかも知れないけど
 今度はノイマン型で原始的な電気波形にまで
 変換されるから、もっと涅槃を味わえるよ。
 まさに逝って良し!」
「???…まぁいいや。
 そ、それにしても広いねー」
「謎春奈がこまめにデフラグをしてくれているから
 ここまで整地されているけど
 放置してあるHDDなんて歩けたモンじゃないんだろうね。」
「そうでしょうねぇ。スキャンディスクもマメに
 やってますから不良クラスタも心配ないですよ。」


52 :作者はt09 :02/03/10 11:01 ID:???
「ありがたいよ。一家に一台謎春奈だね。」
「そんなに誉めないでください〜」
「銅鑼えもんならともかく
 謎春奈さんに『一台』とは失礼だぞ。」
「オイオイ、漏れには失礼じゃないのか?」
「あたしは銅鑼えもんさんみたいに
 本当にAIではないんですよ。
 ただ膨大なデータベースから受け答えを
 しているだけなんです。
 だから一台でも良いんですよぉ」
「えー?だって銅鑼えもんより頼りになるじゃない。」
「君、圧縮分割偽装かけてネッタクにUPして
 二度と元に戻せないようにしてあげようか?」

「さて、そろそろ体の感覚に慣れてきましたか?」
「うん。でもこれだけ歩いているのに
 全然疲れないんだけど?」
「良い所に気が付きましたね、のび太さん。
 では、ちょっとイメージしてください。
 今まで歩いた距離と自分の体力。
 現実世界ではどうなっていますか?」
のび太はヘトヘトに疲れていて足が棒になり
「もう歩けないよ〜」などと弱音を吐いている自分を
想像した。その途端、体が重くなり
足がガクガクしだし、前に進めなくなった。


「もう歩けないよ〜」
「それがこの世界のルールです。
 何よりものび太さん自身の観念、イメージが
 のび太さん自身を形作り、存在させています。
 さぁ、今度は全然疲れていない自分を
 想像してください。」
のび太は一生懸命想像してみた。
全然歩いてない。全然疲れてない。
「…ダメみたい。」
「思いこみ強いからな。
 その上根に持つタイプだし。
 物忘れは激しいのに発揮できないかー」
「銅鑼えもん、こっちに来てから口悪いなぁ」
「そう?データ化のせいでより率直になっているかも。」
「しょうがないですね。ではあたしがのび太さんの
 疲れを癒してあげますぅ」
謎春奈はのび太の足の上に手をかざして
目を閉じて念じて見せた。
「ホントだ!もう全然疲れてないよ!」
のび太は立ち上がり駆け回って見せた。
「あたしは何もしてませんよ。
 暗示を掛けただけですぅ」
謎春奈が笑いながら言うとのび太は急に立ち止まり
ぐずり始めた。
「もう歩けないよ〜」
「氏ね!」


53 :作者はt09 :02/03/10 11:02 ID:???
「とにかくここは観念の世界なので
 確固としたイメージさえ出来上がれば
 空も飛べますし瞬間移動も出来ます。
 私たちプログラムには最初からその観念が
 植え付けてありますけど
 マスターユーザーであるあなた方には
 訓練が必要です。
 常識や感覚にとらわれない強いイメージがあれば
 私たちプログラムを凌ぐ強い力を
 発揮できるはずです。」
「そんなこと言われてもなぁ」
「銅鑼えもんさんはもう出来ますよね?」
「え?うん、試してみるよ。」
銅鑼えもんが目を閉じ何かを念じると
スーッと宙に浮いた。
「わ!尊師?」
「銅鑼えもんさんはもちろんプログラムですから
 楽なはずです。でも実際に体を制御している
 ドライバ類も組み込んであるので
 体感覚的に心配でしたが、流石ですねぇ」
「いやいや、タケコプターをイメージしただけだよ。」


「そうだ!タケコプター出してよ。
 そうすれば無理なくイメージ湧くし
 楽に飛べるはずだよ!」
「ええ?そんな事しなくても飛べるだろ?
 普段使っている時のことを思い出せば
 良いんだから。五感の記憶だよ。
 ほら、イメージして!
 空を飛ぶぞ!空を飛ぶぞ!
 空を飛ぶぞ!空を飛ぶぞ!」
「そ、尊師!?」
「想像力のないやつだなぁ。
 ロボットに想像力で負けてたら
 お終いだぞ?」
「僕は常識的なんだよ!」
「しょうがないなぁ…ハイ!タケコプ…あれ?
 あれあれあれ?」
「どうしたの?」
「ポケットが、四次元ポケットがない!」
「ええー!?」
「あのー、ここはさっきも説明した通り観念の世界なので
 ポケットの中身、成り立ち、機構、全てを
 把握した上でイメージできないと
 自信の体以外の物は具現化できませんよ?」
「えー?そうなん?」


54 :作者はt09 :02/03/10 11:02 ID:???
「じゃあ僕の服は?最初から着ていたけど。」
「それはのび太さんがイメージしたんですよ。
 普段から着ているから簡単にイメージでき…!
 勘弁してください〜(;´Д`)」
謎春奈が説明している途中でのび太
素っ裸になってしまったのだ。
そんなのび太を無視して銅鑼えもんは
「さすがに全ての秘密道具を観念化するのは
 無理だけど使ったことがある道具なら
 具現化できるかな?」
「普段使い慣れている道具でしたら
 出来ると思いますよ。
 もっとも具現化の必要もない筈なんですが。」
「このままじゃ空を飛ぶことどころか
 あの思いこみの強いヴァカの裸を
 見続けなければいけないから
 服とタケコプターだけ具現化してみるよ。」


「文字通り想像力のないあたしには
 具現化は無理なのでお願いしますぅ」
銅鑼えもんが念じると空中にのび太の服と
タケコプターが出現した。
「ありがとー!…あれ?何だよこのダサイ服は?」
「はぁ?いつもの君の服ジャンか!」
「シャツのボタンの数が違うし黄色も薄いよ!」
「氏ね!」
謎春奈はのび太のメガネが消えてしまわないことに
疑問を抱いたが言うと面倒なことになるので
黙って置いた。
(でも、なんか、のび太さんの…
 ネット巡ってて見ちゃった男の人のアレと
 ちょっと違うんだな。イメージしきれてないのかな?
 でもこれも面倒な事になりそうだから黙っておこう。)

一行は飛行感覚に慣れるために
しばらく空中を移動する事にした。
銅鑼えもんは、途中で黙って
のび太タケコプターを消したが
のび太は気が付かず飛び続けたので安心した。
(アレだな、自転車の練習と一緒だな)
しばらく飛び続けると、いくつかの建物が見えてきた。


55 :作者はt09 :02/03/10 11:03 ID:???
地上に降り立つとそこは丸の内のオフィス街の様に
幾つかの大きな建物が建ち並んでいた。
ただ、既存のオフィス街と決定的に違うのは
建物と建物の間隔が異様に広い事と
その建物の周りに人の気配がまるで感じられない所だ。
「このビル、大きいなぁ」
「これはフォトショップですね。大きいですよ。」
「隣は?」
「一部分繋がっていますよね。イラストレーターです。」
「中には誰もいないの?」
「居ますけどわかりやすく言えば寝ている状態ですね。
 起動すると作業にも因りますけど
 フル稼働し始めますよ。」
「誰かが作業を始めるって事?」
「本当は違うのですけど、PC革命は馴染みやすいように
 作業工程を擬人化して見せてくれるみたいですね。」
「へー見てみたいなー」
「実はこことは別の場所に工場区域の様な作業場が
 あるんですけど、そこは凄いですよー」
「メモリの事かな?」
「さすが銅鑼えもんさん!その通りですぅ」
「見てみたいけど急がないとね。」
「そうですね、TCP/IPセンターへ行きましょう。」


のび太達はまた空を飛んでTCP/IPセンターを目指した。
この世界にすっかり慣れたようでタケコプターが
無くてものび太は楽に空に飛び立った。
「でもさー。こうやって行動してても
 全然体に危険を感じないんだけど
 本当にこのソフトは危険なの?」
「こうやって移動しているだけでも
 かなり危険な事をしていると思った方が良いよ。」
「ええ!?どうして?」
「HDD内の移動は物理的な移動ではなく概念的に
 電気信号を移動させているわけですが
 それでもシンクロが狂えばマスターかコピーが
 壊れる恐れもあるわけでしてぇ
 お二人のような大きなデータを例え
 内部GUI的にだとしても移動させれば
 HDDのクラッシュやメモリのリブート
 CPUの熱暴走は避けられない問題だと
 銅鑼えもんさんは言いたいのですよね?」
「何言ってるかさっぱり分からないんだけど。」
「つまり僕らはデータの一部分とはいえ
 頻繁にカットアンドペースト
 繰り返しているんだよ。
 C&Pって言っても内部的にはコピーな事に
 変わりはないわけで、一瞬前の自分は
 絶えず消去されているのさ。」


56 :作者はt09 :02/03/10 11:03 ID:???
「ふーん。でもそれって
 現実の世界と変わらないじゃない。」
「どうして?」
「過ぎ去った時間は元に戻せないって
 事でしょ?」
「う。それはそうだけど…」
銅鑼えもんは未来の価値観、ロボットの価値観では
のび太の時代の人間の精神的逞しさを
計り知れないと感じた。
もしかしたらこんなヤツが何も気が付かずに
歴史を動かしているのかも知れない。

「さあ、あそこがwindowsですよ!」
目の前に、文字通り立ちふさがったビルは
あまりにも巨大だがシンプルでいて
内部の構造の複雑さを外観の『窓』から見て取れた。
「おおきいね…」
「コレは2000バージョンですからまだましですよぉ。
 スネ夫さんのマシンとか見てきましたけど
 win98とかMEなんかは地下に
 Dosなんてのもありましたし。」
「で、このビルの中に
 そのTPC/ICセンターがあるんだね?」
のび太さんあまりにベタすぎて
 つっこめないですぅ(;´Д`)」


ビルに入ると大量のビルが居た。
「コレ誰?」
「ははぁ、こういう表示になるのか。」
「設定で変えられるようですけど
 静ちゃんのMacにはジーパンMハゲのおっさんが
 一杯居ましたよ。」


57 :作者はt09 :02/03/10 11:04 ID:???
TCP/IPセンターはこの階にあります。
 すぐですから着いてきてください。」
謎春奈の後について歩くと廊下には
様々なプラカードを持ったメガネの外人が
たむろしていた。
「あの人達は?」
「win2kになってから出番が少ないので
 暇しているみたいですねぇ」
「?」
見るとプラカードには
『…のページ違反です』
『〜なため強制終了…』
windowsを正しく終了させなかった…』
などと書かれている。
「PC革命を使ってたいていの人が最初にやる事は
 あの人達をぶん殴る事だそうですよー」


センターに着くと謎春奈は受付を済ませてくるので
外で待っているようにと二人に言った。
中を覗いてみると
思ったより小さい窓口にやはり同じ顔をした
メガネ外人が3人座っていた。
見ていると何だかもめているようだ。
「何で許可して貰えないんですか?」
「仕様です。」
「いつも私なんて簡単に通して
 貰えるじゃないですかー?」
「そのような前例は弊社にございません。
 つきましては以下のアドレスへ行くか
 このメールアドレスまで連絡を…」
「どうしたの?」
エシュロンまでってIP渡したら拒否されたんですぅ」
「仕様です。」
「分かったよ。君らフォーマットしてLINUX入れよう。」
そう銅鑼えもんが言うと三人はとっさに立ち上がり
「失礼いたしました。お通り下さい。」

「でもさぁ、エシュロンなんて直接乗り込んでも
 大丈夫なの?」
「あそこは『来るデータ拒まず』らしいですからねぇ」
「秘密の機関なくせに?」
「そのかわりあそこから出る方が難しいと思われますょ」
「そうなんだー。みんな大丈夫かなぁ?」


58 :作者はt09 :02/03/10 11:04 ID:???
「いわば世界中のwebデータ、メールの検閲をしていますし
 そのほとんどをキャッシュとして
 ため込んでいるようですし。」
「そんな事出来るの?」
「もうテラなんて前世紀中に越えちゃって今じゃペタ単位
 らしいですよ。もっともhtmlだけなら
 googleだって同じ事やっていますし
 民間であれだけ出来るんなら国レベル、
 しかも諜報機関やら軍が絡んでいれば
 予算は青天井でしょうし、余裕でしょうねー」
「ううう、捜すの大変そうだなぁ…」
「大丈夫ですよ。サーバは特定できていますしぃ」

謎春奈に案内されて行った先には巨大な穴が空いていた。
底を見ても何もない。ただの巨大な『穴』だ。
「ここに飛び降りれば一気に物理層まで
 変換されつつ行き着きますから後は流れに
 任せるだけです。そうそう、切符を渡しますね。
 これ、頭に巻いてください。」
「飛び降りるの?コレを?」
「イメージですよ、イメージ。
 本当は色んな手順を経て電気信号にまで変換されて
 転送されるんです。」
「それにしたって…」
のび太が穴を覗いていると銅鑼えもんが後ろから
無言で突き落とした。


59 :作者はt09 :02/03/10 11:04 ID:???
気が付くとのび太は何もない空間に立っていた。
足下にはぼんやりと光るワイヤーフレーム
地面がある物の、それは遙か先まで
四方に続き見渡す限り同じ景色が続く。
それを認識した途端足がすくんで動けなくなった。
広所恐怖症というのがあればそれだろう。
そしてだんだんと自分が何者であるのか
分からなくなってきた。
傍らに物や、音、においがあって
初めて自分を認識する事が出来る事実を知った。
かろうじて何かに自分を預けて立っていると言う
事象だけがのび太を見た目にも精神的にも支えていた。
「聞こえますかー?」
謎春奈さんだ!
「ここにいるよ!何処にいるの?」
「すぐそばとも言えますし、
 ずっと遠くだとも言えます。
 どうやらここはフォーマットが違うようですねぇ
 ひょっとしたら暗号化された空間なのかも…」
「どうすればいいの!?」
「とりあえずじっとしてろ!」
「銅鑼えもん!」
「謎春奈にも僕らは見えないの?」
「ええ、身動きとれません(;´Д`)」


「おい!その声はのび太と銅鑼えもんか!?」
暗闇の中で聞き慣れた声がした。
ジャイアン!?」
「やっぱりそうか!おい、スネ夫
 静ちゃん!聞こえるか?二人が来てくれたぞ!」
「銅鑼ちゃん!のび太さん!」
「遅いぞ!うあ〜ん!ママ〜!」
「みんな無事だったんだね!?」
「パソコンいじっていたら変なヤツが現れて
『HPの事を文句言ったヤツ探しに行こうゼ』
 って誘われてクリックしたらここに
 飛ばされたんだよ。
 不安で気が狂いそうになったら
 スネ夫が来て、その後静ちゃんまで来て。」
「でもきっと助けに来てくれると思ったわ!」
「やっぱりのび太達の仕業か!早く帰してよ!」
その途端、目の前に眺望が開けた。
とは言っても真っ白な空間に目の前が覆われただけだが。
しかしお互いの姿を確認する事が出来た。
突然天空から声が聞こえた。
「アーヒャッヒャヒャようやく全員揃ったネ!」
「う゛にゅう!?」
「でも、もうちょっと冒険を楽しんでネ!」


60 :作者はt09 :02/03/10 11:05 ID:???
う゛にゅうの声が響き始めた頃から真っ白な空間は
変化を見せ始めた。地面が隆起し、様々に形作り
うっすらと色がつき始めた。
天地創造〜色即是空〜空即是色〜アヒャヒャ!」
野山が出来、空が青くなり雲が流れ遠くには
小川がせせらぎ始めた。う゛にゅうの声さえ無ければ
絵葉書でしか見た事のない極めて牧歌的な景色が
広がっていく。木々は生い茂り足下には草がのびていく。
「コレ一体どういう事?」
のび太は銅鑼えもんに聞いてみた。
だが口を開けて首を振るばかり。
「謎が謎を呼ぶ〜奥の深い世界観〜アヒャ!」
「謎春奈さん!謎春奈さんが居ない!」
「ええ?」
「ヒロイックファンタジーには囚われのお姫様は
 必要不可欠だからね〜アヒャヒャヒャヒャッ」
「謎春奈が居ないとここから抜け出すなんて…」
「だから助けに来てね〜ヒャハッそれとプレゼントを
 上げるYO!勇者は布の服を手に入れた!アヒャアヒャ!」
空から鎧や剣、服が落ちてきた。
「勇者達の運命やいかに!続く(ワラ
 みんながんばってね〜アーヒャヒャヒャ」
う゛にゅうの声は空に消えていった。


「どういう事?」
みんなが呆然としている中のび太が声を上げた。
銅鑼えもんは我に返って落ちてきた武器防具を
調べ始めた。
「これ、未来のおもちゃ。
『なりきりコスプレイヤー』だよ…」
「だからどういう事なの?」
「どうもこうもう゛にゅうが言ってただろ!
 謎春奈を助けに行くんだよ!
 コレを身につけて!
 それしか助かる道はないんだよ!」
「つまり生身でRPGをやれって事?」
スネ夫が半泣きしながら聞いた。
「そう言う事!この衣装を付けて仮装していると
 それぞれスキルが身に付いていくんだよ。
 未来に『ヒロイックランド』って遊園地があって
 そこのアトラクションと同じみたいだけど。」
「怪物が出てくるの?」
静ちゃんが不安そうに呟いた。
「出てこないとレベル上げられないからねぇ」
「セ、セーブは出来るんだよね?もちろん。」
「出来ないだろうねぇ。PC革命だし…」
全員が意気消沈してしまった時ジャイアンが声を上げた。


61 :作者はt09 :02/03/10 11:06 ID:???
「お前ら!やって見もしねぇで諦めるな!
 お前らが行かないんなら俺一人でも
 お姫様助けに行くぞ!」
ジャイアン…」
ジャイアンは武器防具の中から
自分に合うサイズの物を探しだし身につけ始めた。
するとスネ夫も泣きべそをかきながら
衣装の山に近寄った。そしてのび太も、静ちゃんも。
「よし!謎春奈を助けに行こう!」
銅鑼えもんの一声でみんなの目は意志を持つ
強い輝きに変わった。

62 :作者はt09 :02/03/10 11:06 ID:???
【未来は僕の物】  作詞 竹田徹夜
どんな大人になるのだろう 僕の明日は見えては来ない
どんな未来になるのだろう 僕の夜明けは明けては来ない
夕闇に一人で空を見上げて 夢見た想像は忘れちゃいけない
公園でみんなで話し合った 友情だって忘れない
*これからは 僕らが作る 未来がやって来る
不安もあるけど 期待しちゃいけないの?
僕らの夢は 広くて大きいよ
大人には考えつかないくらい
どんな大人になっても 僕の明日は僕の物
どんな未来になっても 僕の夜明けは僕の物

*くり返し


衣装は前もって決められていたかのように
サイズがはっきりと分かれていた。
ジャイアンはウォーリア。スネ夫はウィザード。
静ちゃんはプリースト。のび太はアーチャー。
「みんなキャラに合ってるよね。」
のび太は射撃が得意だし、ジャイアンは力持ちだし
 静ちゃんは優しいしね。」
「お前は何なんだよ?」
「僕は頭がいいからね。魔法使い。」
「銅鑼えもんは何なの?」
「格好を見て分からない?」
「?戦士…はジャイアンだし…」
「勇者だよ!」
「え゛〜?」

武器や防具とともに魔法書が落ちていた。
それには魔法の使い方が書かれてあった。


63 :作者はt09 :02/03/10 11:07 ID:???
[魔法は言語の本質をとらえる事によって
 その力を増していきます。
 例えば炎の魔法の最下級は"flame"ですが
 高級言語で"print>flame"ですと少し激しい炎が
 生み出されます。もちろん言語はFORTRANなどで
  XAPP=-2.0
  K=1
 5  XIMP=(XAPP*COS(XAPP)-
   SIN(XAPP)+1.0)/(COS(XAPP)-1.0)
  WRITE(5,100) K,XIMP
 とやっても結構ですし、マシン語を使えば
 最強の炎が作り出せるでしょう。
 気を付けなければいけないのは
 命令文で対象を決めなければいけない事と
 無限ループは強力ですがこの世界の崩壊を招く
 危険性がある事です。
 そしてアセンブラなどは非常に複雑で長大な為
 詠唱時間も長くバグも多くなる事から…]
「こんなの覚えられないよぉ!」
「この杖にコンパイラって書いてあるけど
 バージョンが低いみたいだねぇ」
「この指輪にはデバッガって書いてあるわ。
 でもこれもバージョン0.001…」


64 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/10 11:08 id:n85l7mrQ
 
 
 
------------------------しおり------------------------







65 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/10 15:08 id:NK0PguLi
誰かつづきを〜!!

66 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/10 17:43 id:g2vMWmfh
読みて〜

67 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/10 17:57 id:jnWogwLW
な、なんなんだこのスレ
普通に小説じゃねえかw

68 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/10 18:15 id:g2vMWmfh
ここもいってみ
ttp://xxkjjg.virtualave.net/story.html

69 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 06:50 id:BqlNn6fW
最終話まであと少しage

70 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 13:27 ID:X+Zspj0Z
誰か続きをUPして下さい。

71 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 15:19 id:Nrk9LN5C
スッゲェ面白いんだけど・・・いや「ですけど」

取り敢えず宣言

「「「「「「「「<<1は神!!!」」」」」」」

72 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 16:23 id:DAbnVwaV
続ききぼんぬ

73 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 18:13 id:vyrNYsi7
まじすげえ!友達のもすすめた。

74 :73 :02/03/11 18:14 id:vyrNYsi7
やべえ。興奮して間違えた。友達にも、だ。

75 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 21:42 id:j3bXYKQT
紹介されました。すごいような、暇と知識さえありゃ
別に大したことでもないような、、、
まぁ、すごいとしておこう。


76 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 21:58 id:MF2z6nlM
>>75
いや、そんなことない。
暇と知識はあるがおれにはこんなもの書けん。(w

77 :DORAEMON :02/03/11 23:12 id:aLkNtAko
これ、とても教養になるのでは?
映画にもできるようなストーリーです。
(もう少し子供向けにしてくれれば、映画化されてもおかしくないと思います。)

最後は感動の結末ですか??
だいたい映画オンリーヒロインキャラが消えちゃったり…。
泣けてくる話。

78 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 23:24 id:MF2z6nlM
>>77
劇場版銅鑼の展開をかなり正確にトレースしてると思われ

79 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/11 23:58 ID:???
感動しました。なんとすばらしい。すばらしすぎる!
「再現」ってのは前にどこかであったということでしょうか?

よみたい!続きを読みたい!
まだ作ってないのか?もう出来ているが途中で反応を見ているのか?

t09様!降臨しておしえてくれー


80 :DORAEMON :02/03/12 00:12 id:fwzLXTd/
もう少しファンタジー色を濃くすれば、映画向けになるかと…。
少し怖い感じもしますが、それもドラえもん映画の醍醐味でしょうね。

映画のあらすじとして…
1.スネ夫にパソコンを見せびらかされたのび太はいつものようにドラえもんに頼り、
  パソコンを出してもらう。
2.アシスタントプログラムの謎春奈にパソコンを教えてもらうのび太だが、
  もう1つのアシスタントプログラムのヴにゅうと共に事件を起こす。
3.気づいたときは既に遅し。ヴにゅうがいなくなってしまった。
4.ヴにゅうの行方不明に伴い、ジャイアンスネ夫・しずかちゃんの3人は
  意識不明の重態となる。
5.3人を救うべく、ドラえもんのび太は謎春奈と共にネットワークの世界へ。
6.6人は悪の親玉(?)ヴにゅうを倒すため、バーチャルワールドを冒険することに。

7.ハッピーエンド?
6人はヴにゅうを倒すが、謎春奈が犠牲になって、バーチャルワールド(?)の崩壊から
危機一髪逃れる。最後は泣きながら、謎春奈との別れ。
「キミのことは一生忘れない…。」ってのび太が言うと思う(藁

タイトルは…
ドラえもん のび太のバーチャルアドベンチャー
???
私はアフォです。すみません。

81 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 00:18 id:OSqdWfap
でも、パロディーとしてはこの位のダークさが面白くない?
Windowsへの皮肉とか、すきなんだがな。


82 :DORAEMON :02/03/12 00:28 id:fwzLXTd/
ぜひ映画化して欲しいと思うのは自分だけでしょうか?
シニカルな表現は映画ではなしで。

この続きっていつでしょうか…

83 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 00:31 id:OSqdWfap
たしかに映画であと冒険していないのって
バーチャル世界ぐらいじゃない?



84 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 00:34 ID:???
RPG感覚で、ゲームが好きな子供にも受けると思います。

85 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 01:00 ID:???
>>78
大長編ドラを知ってると結構ニヤリとするね。
漏れは主題歌が挿入されたところでニヤリ。


86 :完全無法主義希望的観測者 :02/03/12 01:17 ID:???
これ、とてもおもしろいです。
映画化して欲しい。表現は子供向けにして…。

あと、ヴにゅうは元々22世紀の人間だったが、
体は滅び、魂だけバーチャルワールドに残った。
自分をプログラムとして製品にして、謎春奈の相棒として一般に回った。
ヴにゅうの目的は全ての人間をバーチャルワールドに引き込み、
すべての人間を支配しようとした。

消滅した謎春奈は、現実世界に戻ったあと、エンディングあたりで人間として登場。
「あっ!!…んなはずないか。」っていうような感じで…。(すれ違いぐらい)

87 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 01:31 ID:???
この作品は今起承転結の転の部分に入るところですね。
起…パソコンを始める。
承…事件に巻き込まれる。
転…冒険のクライマックス。
結…感動、涙のエンディング。

88 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 05:13 id:sEOSYLVj
続きは無いの?それともただの転載?

89 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 06:16 ID:+JIbGm01
sugoi age!

90 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 11:39 id:RAJUY+Vr
転載希望age

91 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 12:20 id:TLkPY6gq
昔にあって、最近の劇場版ドラにはない匂いがぷんぷんします。
すっごく好き

92 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 16:13 ID:???
転載を待たなくても作者のサイトで読めますよ。
ttp://xxkjjg.virtualave.net/story.html

93 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 16:36 ID:???
>>56がイマイチわからないんですが。
何がどうベタなんですか?

94 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 16:59 id:VVhXs9k0
>>92
でも、全部はヨメナ〜い

95 :窓際公務員 :02/03/12 17:06 id:DF5JYmiZ

( ´酈`)ノ< >>92そっちはまだ半分も掲載されていないのれす

96 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 17:09 ID:???
>>20
ここが一番好き。

97 :age :02/03/12 21:26 ID:???
ageage

98 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 22:16 id:R8rruyMU
素晴らしいage!

99 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 22:34 id:ce4QSlMU
続きが読みたい…

100 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 22:55 id:WIMFvwTE
続きを希望して100ゲット!

101 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/12 23:13 id:hn3OCm2o
これだけ続きを渇望される漫画が商業誌にあるだろうか(泣

102 : :02/03/12 23:54 id:U01BnQpQ
掛け値なしで素晴らしい ネタがわかる人間にとってこれほど面白さを感じる作品は今まであっただろうか 否ない。


103 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/13 00:38 id:kGJXzlEi
凄いage

読みたいですぅ

104 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/13 00:54 ID:???
板違いだし、sageでお願いします

105 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/13 15:35 ID:???
sage

106 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 00:02 id:DffhR+Zz
正直、続きが読みたい。

107 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 00:33 ID:o/XMItZQ
ゴルァ、おれに続きを読ませろ



いや、ほんとお願いだから続きを読ませてください。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 01:14 ID:???
竹田徹夜イイ!つかマジでオモロイ

109 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 14:52 ID:???
そこら辺の糞マンガよりゼンゼンおもしろい。

110 :asuka :02/03/14 14:53 id:HfRTjooA
http://ime.nu/www.hpranking.com/in.cgi?dir=web&id=rummusic
http://ime.nu/www.hpranking.com/in.cgi?dir=web&id=rummusic
http://ime.nu/www.hpranking.com/in.cgi?dir=web&id=rummusic
http://ime.nu/www.hpranking.com/in.cgi?dir=web&id=rummusic
http://ime.nu/www.hpranking.com/in.cgi?dir=web&id=rummusic

投票よろしく!!

111 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 16:21 ID:58+zLVOu
つづききたいあげ。

でも、謎春奈タンは最後にきえちゃうんでしょうな。

112 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 17:39 ID:7nRIn5b0
「ビルの中にはビルがいた」でハゲシクワラタ

113 :age :02/03/14 21:26 ID:???
板違いだからsageって…。
これほどの名作は、さほどないよ。
sageる必要もない。

age

114 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/14 23:06 id:Joq6v6sz
続き読みたいage!!!!


115 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/15 00:24 id:NJKhAP7N
続き探そうと思ったけどどこにもねーや・・・
1の人頼むから続きを・・・

116 :  :02/03/15 01:23 id:LZSWOcjc
おもしろい

117 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/15 15:32 id:zRe3EtoA
age

118 :作者はt09 :02/03/15 16:34 id:Oh8g9Yf6
実は漏れここまでのログしか取ってないの・・エンディングまであとちょっとなんだけど…
誰か、続きもってない?

続きを持っていそうな人達→ugsite.comの頭痛さんとかt09さんとかmoemoeさんとかopexさんとか…他多数の常連さん。

119 :  :02/03/15 17:28 ID:6bE5ArSM
今web-achiveから探してきたけど(△■◎が@×?※なとこ迄)
作者がHP持ってて更新停止してるわけじゃないので掲載していいのかな?
ちなみに12/16の会津での掲載分までそれ以降は知りまへん
他のweb-achiveならあるかもね(他ってあるのかな?)

120 : :02/03/15 18:43 ID:???
>>93
TPC/IC

121 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/15 19:16 ID:???
>>119
掲載しる!

122 :作者はt09 :02/03/16 15:13 ID:???
「でも私の呪文書には違う事が書いてあるわ…
[プリーストはパーティ内の信頼度によって
 回復魔法や支援魔法のダメージや
 効果が変わってきます。
 まず最初にパーティ全員の名前を確認して下さい。
 ここで言う名前とは現実世界での名前ではなく、
 この世界で登録されたIDであることにご注意下さい。
 そしてこの名前は敵に知られると
 ステータスを知られてしまう他、
 敵術者のレベルが高い場合
 一気に全滅させられてしまう可能性もありますので
 細心の注意を払って下さい…]あたし
 みんなのIDなんてしらないわ。」
「そのままdoraだよ」
「俺はgian」
「僕はsune」
「あれ?僕何だったっけ?」
「君、nuviだったよ」
「なんて読むのよそれ」
「ヌ…ヌヴィ…かな?」
「言いづらいわねぇ」
「だってnobiじゃ登録できなかったんだもん」
「まぁいいさ、敵には知られそうもないし」
「そうね」
「俺達は剣を振り回してりゃいいんだろ?」
「敵の急所を覚えたり倒すこつを知ると
 レベルが上がるらしいよ」
「なんだよ面倒くせぇなぁ」

123 :作者はt09 :02/03/16 15:14 ID:???
「とりあえずRPGの基本はレベル上げと情報収集だよ」
「じゃあ定石通りレベルを上げながら
 街を捜そうか」
「そうだね。スネ夫君が一番詳しそうだ」
「僕はどんなクソゲーでも一度はクリアするからね」
「それは威張れる事なのか?」
「周りを見回してみな。三方を山に囲まれてるだろ?
 進むべき道はあっちだけだ。
 このゲームはそれ程自由度が高いRPGじゃ
 なさそうだよ」
「良し。じゃああっちへ進もう」
100メートルほど歩くと何かぶよぶよした物が
近づいてきた。
「スライムだ」
「何かベタベタだね」
「う゛にゅうが作ったんなら
 従来のRPGを適当に編集してあるだけのはずだよ。
 だって創造力なんて無いんだから」

銅鑼えもん達はスライムを倒した!
経験値を8ポイント
15ゴールド手に入れた!
スライムは薬草を持っていた!

「これいちいち言われるのかな?」
「頭の中で叫ばれると結構イヤなもんだね」

124 :作者はt09 :02/03/16 15:15 ID:???
銅鑼えもん一行はその後数回の戦闘を繰り返し
パーティは一つレベルを上げた。
そしてその頃一つ目の街が見えてきた。

「小さい街だね」
「最初だからねぇ」
「宿屋と武器防具屋、酒場がある。
 十分なんじゃない?」
「さっさと宿屋で休んでまたレベル上げに行こうぜ!」
ジャイアンは元気だなぁ」
「あたしもうヘトヘトだわ」
「敵をぶん殴ってれば金が貰えて、そのうち
 英雄になってお姫様と結婚出来るかもしれない!
 なんて良い世界なんだ!」
「もうちょっと昔に生まれてくるべき人物だったのかもね」

武器防具屋を覗いてみたが
今の資金で帰るような物は無く
道具屋で売っている便利そうな物も
宿屋の泊まり賃に比べると割高な物ばかりなので
話し合いの結果ひとまず宿屋で休む事になった。
銅鑼えもんが自室で休んでいると
まずのび太が尋ねてきた。

125 :作者はt09 :02/03/16 15:16 ID:???
「銅鑼えもん。ひみつ道具はもう出せないの?
 タケコプター出したみたいにさ」
「うん。何度も試してみたけどダメみたいだ」
「このままゲームをクリアしたとして
 僕らの体に戻れるんだろうか?」
「このゲームがどのぐらいのスケールか
 分からないから何とも言えないけど…」
「タイムリミットは後どれくらい?」
「恐らく3日か4日ぐらいだろうね」
「それまでにクリア出来るかな?」
「この宿に泊まってみて分かったけど
 宿に泊まるって言うのは一晩寝るって
 行動らしいんだよ。
 がんばって宿に泊まらずに進んでいったとしても
 常識で考えて無理だろうね。
 スネ夫や静ちゃんは休息をとらないと
 魔法が使えないみたいだし
 彼らのサポートがないと進めないし」
「それじゃあ…」
「ちょっとスネ夫を呼んできて貰えない?」
「うん」

126 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/16 15:24 ID:???
やっと自作自演臭が消えたね

127 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/16 16:54 ID:???
今は普通ぽいけど前の方のはダークだね。
あんなのドラえもんじゃあねーよ(;´Д`)

128 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/16 17:03 ID:???
…これ相当長くなりそうだな

129 :作者はt09 :02/03/16 17:08 ID:???
「君のゲーム感から言ってこのゲーム、
 クリアするのにどれぐらいかかると思う?」
「銅鑼えもんが言った宿屋で一晩って
 足枷があるとしてこの世界での時間感覚だと
 たぶん2ヶ月以上じゃないかな?
 レベルの上がり方、敵のエンカウント、
 スタートから最初の街までの距離なんかで
 判断するとだけど」
「やっぱりそれだけかかるかー」
「時間の事なら大丈夫だろ?
 外に戻ってからタイムマシンで
 気を失った直後に戻れば良いんだから。
 いつもの事じゃんか」
「い、いや実は…」

130 :作者はt09 :02/03/16 17:09 ID:???
銅鑼えもんはスネ夫に問題点を説明した。
するとスネ夫は凍り付いて動かなくなってしまった。
「僕、死ぬの?」
「そうならない為にもさ、何か方法は無いかな?」
「ボク、シヌノ?」
「ほら、良くやってるじゃない、
 ノーセーブクリアとか早解きとか」
「あれはやりこんでやりこんでやりこんで
 一つのゲームをこれ以上遊べないって程解析して
 飽きちゃった人が挑戦する物で
 初見でしかも自分がゲームに入り込んじゃって
 その上死んじゃったら本当に死んじゃうような
 リスクを負ってやる物じゃなくて
 所謂オタッキーが暇で暇で他人に誇れる物が
 何一つ無くてかといって金もないから
 他にやる事もなくてどうしようもなくて
 するような事なんだよ追いつめられて
 やるような事では決して無いんだよ
 そうだよ僕は死ぬんだよ冷たくなるんだよ
 ママに泣かれるんだよ僕も泣きたいけど
 もう泣く事も出来ないんだよ死ぬんだよ
 ママー!ママー!ママン!
 こんな事なら体育館の裏にあったあのHな本
 ウチに持って帰って
 部屋に隠したりするんじゃなかった
 こんな事で死ぬなんて考えてもみなかった
 ママー!」
スネ夫は叫びながら自分の部屋に
走っていってしまった。

131 :作者はt09 :02/03/16 17:11 ID:???
この騒ぎを聞いてジャイアンと静が駆けつけてきた。
銅鑼えもんは仕方が無く事の次第を説明した。
静はさめざめと泣き出したがジャイアン
「そうか」
と一言言って部屋を出ていった。
のび太に静ちゃんを任せて銅鑼えもんは
スネ夫の様子を見に行った。
部屋には鍵が掛けられていて
中には入れなかったが
ドアに耳を近づけてみると泣き声が聞こえたので
ジャイアンの様子を見に行く事にした。
だがジャイアンは部屋にはおらず
外に出ていったようだ。
装備品も部屋には残されていなかった。

ジャイアンは街のはずれの広場にいた。
そして剣を振っていた。
「俺は難しい事はわからない。
 かと言ってこのまま
 じっと死を待つ事なんて出来ない。
 間に合わなかったとしても
 俺たちをこんな目に遭わせたヤツを
 一発ぶん殴ってやりたい」
「…そうだね」

部屋に帰ってみると静ちゃんは既に泣きやんでいて
代わりにのび太が慰められていた。

132 :作者はt09 :02/03/16 17:17 ID:???
スネ夫はいつまで経っても出てこなかったので
四人で話し合い明日もレベル上げと情報収集に
当てる事にした。それぐらいしか
出来ることはないのだ。
酒場にいた人の話では近くに洞窟があり
そこから別の街に行けるそうだ。
だがそこには中ボスが居るらしい。

翌日、スネ夫を起こしに行ってみると
相変わらず鍵が掛けられていて中に入れない。
泣き疲れて寝ているのだろうか?
しかしドアに耳を当ててみると
ブツブツと何か声が聞こえる。
スネ夫君!出かけるよ!
 このまま動かなくっても
 何も事態は好転しないよ!」
だが返事はなく相変わらずブツブツと
低い声だけが聞こえる。
「動きたくないヤツは放って置けばいい!」
「だけどジャイアン…」
「行くぞ!」

だが四人での戦闘は思ったよりも困難であった。
洞窟に近づくと敵もパーティを組み始め
多数の敵相手には攻撃魔法が必要不可欠だったのだ。

133 :作者はt09 :02/03/16 17:36 ID:???
スネ夫はいつまで経っても出てこなかったので
四人で話し合い明日もレベル上げと情報収集に
当てる事にした。それぐらいしか
出来ることはないのだ。
酒場にいた人の話では近くに洞窟があり
そこから別の街に行けるそうだ。
だがそこには中ボスが居るらしい。

翌日、スネ夫を起こしに行ってみると
相変わらず鍵が掛けられていて中に入れない。
泣き疲れて寝ているのだろうか?
しかしドアに耳を当ててみると
ブツブツと何か声が聞こえる。
スネ夫君!出かけるよ!
 このまま動かなくっても
 何も事態は好転しないよ!」
だが返事はなく相変わらずブツブツと
低い声だけが聞こえる。
「動きたくないヤツは放って置けばいい!」
「だけどジャイアン…」
「行くぞ!」

だが四人での戦闘は思ったよりも困難であった。
洞窟に近づくと敵もパーティを組み始め
多数の敵相手には攻撃魔法が必要不可欠だったのだ。

134 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/03/16 19:52 ID:???
まだHな本とか言ってやがる・・・普通になったんじゃないのかよ。